Story teller 物語を紡ぐ
19/10/26(土)~19/12/1(日)
アキバタマビ21
世界の名作と呼ばれる物語が多くの異文を秘めているうらに、「語り手=ストーリーテラー」という大きな存在を無視することはできない。変容する語りは物語に活力をあたえ、われわれを養ってきた。しかし、グーテンベルグの大発明により言葉が紙の上に落とされたとき、ストーリーテラーの役割もともに振り落とされてしまったのだろうか。私は作品から物語を感じることが多々ある。視線の先のイメージが個人の記憶や日常と結びつき、さらなるイメージを形成する瞬間に味わう心地よさはわれわれ観る側の特権でもある。現前の作品からある物語がイメージとして立ち上がるとき、そのつくり手はかつてのストーリーテラーではないのか。かつて語り部たちの「声」を拠り所としていた物語たちは、つくり手の「身体」へと棲みついた。5名の作家が紡ぎだす物語を秘めた作品たちが、なにを語りかけてくるのか、目を凝らし、耳を澄ませてみたい。それらの「語り」のうちに与えられた姿が、私に如何にして迫ってくるのか、楽しみでならない。