開館10周年・姉妹館提携記念秋季特別展 Bonsai, Beyond the Border 海を越えた盆栽家 吉村酉二―ニューヨーク、1958
19/10/12(土)~19/11/24(日)
さいたま市大宮盆栽美術館

1958年12月、戦後の独立間もない日本から、盆栽や道具の数々を詰めたケースを携え、単身ニューヨークに降り立った日本人盆栽家の姿があった。彼の名は吉村酉二(ゆうじ)、当時37歳の盆栽家の旅は、やがてアメリカ全土、そして世界に盆栽を広めることになる、開拓者としての長い旅路へとつながる。
父の働く東京の盆栽園に生まれた吉村酉二(1921~1997)は、戦後、盆栽に興味をもつふたりの外国人との出会いを通じて、ニューヨークへの切符を手にする。そのうちの一人、後に米国立樹木園の園長となるジョン・クリーチに吉村が語った夢――アメリカに、国立の盆栽コレクションを展示する場所を作りたいとの思いを発端として、1976年、クリーチは建国200周年の祝意として、日本盆栽協会から米国へ53点の盆栽の寄贈を受け、米国立盆栽・盆景園を開設した。
本展は「Bonsai, Beyond the Border(国境を越える盆栽)」を大きなテーマに、特に戦後の日本と密接な関係を持つアメリカを舞台として、盆栽の国際化に貢献した吉村酉二の生涯に注目。アメリカ盆栽史を切り拓き、数多くの愛好家を育て、盆栽の父と称えられた、知られざる日本人盆栽家の姿をたどる。