蝸牛あや新作個展「積み重なった物語」
19/11/26(火)~19/12/14(土)
MEGUMI OGITA GALLERY
"石ー女" 2018, 40 × 50 × 2.7cm, silk embroidery on silk cloth
「海で見つけた巻き貝、川で拾った小さな石。
自然が作った形、色、模様を追って、そこにあったはてしない時間の物語を想像する。
糸は、生地の裏表を行き来し、その瞬間の空気、気持ち、時間を縫い留める。」
今展では自然物からインスピレーションを得て制作された、新作約20点を展示する。展覧会名は、アンソニー・ドーアの小説「すべての見えない光」から名付けられた。
「自然には正しいことがあり、学びたいと願うから」と話す蝸牛は、ほとんどの作品に素材として絹を用いる。蚕が吐いた糸にはぬくもりがあり、柔らかく、生地は人の肌のように感じられる。また針を刺す音は呼吸に聞こえ、作業の中で作家は心地よさを感じている。絹は扱いが難しい素材でありながら、他にはない光沢や色の美しさ、力を持ち、詩的で洗練された作品の魅力を際立たせている。
多くの情報を知るばかりになった今日、想像すること、感じること、触れることなど、かつて私たちにとって必要不可欠だった行為は失われつつある。これらの根源的な行為の重要性を、作品を通して再認識する場になることだろう。