【3月1日で閉幕】フランスに生きた日本人画家 木村忠太の世界 色と線の美しい記憶
19/11/15(金)~20/3/8(日)
ヤマザキマザック美術館
《セーヌ河畔》1975年 油彩・キャンヴァス ヤマザキマザック株式会社 © ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2019 E3441
香川県高松市に生まれた木村忠太(1917-1987)はフランスに生き、フランスで活躍した画家だ。1953(昭和28)年36歳の時にフランスに移り住み、南仏とパリの風景を描き続けた。現実の風景を題材としながらも、華やかな色彩と自由自在な線によって、光の中で移ろう風景の記憶を画面に捉えた。色彩に満ちた画面の中に、人物や家、木々、道、自転車、車などの形が奔放な線によって浮かび上がり、美しい余韻となって心に残る。
日本でも、生地の高松市美術館・渋谷区立松濤美術館(1989年)、東京国立近代美術館・国立国際美術館(1994年)などで大規模な回顧展が開催されて評価が高まり、生誕100年、没後30年に当たる2017年にも、群馬県の高崎市美術館で回顧展が開催された。しかしながら、東海地方では木村の展覧会は開催されておらず、今回の展覧会は東海地方の美術館所蔵および個人所蔵の作品をまとめて見ることのできる貴重な機会となる。
ヤマザキマザック美術館の創立者、山崎照幸は18-20世紀のフランス美術を収集する一方で、国内の同時代の美術にも目を向けており、木村忠太の絵画はことに高く評価していた。美術雑誌『美術手帖』1986年5月増刊号掲載のインタビュー記事の中で「フランスの画家になりきっている。世界の檜舞台で通用する数少ない画家のひとりです」と語っている。
今回の展覧会では、山崎照幸が収集した《セーヌ河畔》、《風景:村》、《庭》の3点の他に、愛知県立美術館、三重県立美術館、豊橋市美術博物館、公益財団法人かみや美術館の所蔵作品、個人蔵作品を合わせた58点を展示し、木村忠太の創作世界を紹介する。