やきもの王国 ―中世猿投窯と常滑窯―
20/1/18(土)~20/3/22(日)
高浜市やきものの里かわら美術館
古代から中世前期まで続いた猿投窯の技術は、周辺窯業地へと伝播し影響を与えた。その中でも瀬戸窯・常滑窯は、日本六古窯(にほんろっこよう)にも数えられ、現在まで続く愛知県の窯業として継承されている。
常滑窯は、12世紀前半に「山茶碗(やまぢゃわん)」と呼ばれる無釉(むゆう)の碗類の生産により成立し、12世紀中頃には渥美窯の壺・甕生産の技術導入を受け、後の常滑焼の代名詞となる大型の壺・甕の生産が始まったと考えられている。
鎌倉幕府の成立に伴い、常滑窯製品の生産量は飛躍的に増加し、都市鎌倉を中心に全国的に流通することとなった。また、平安時代の終わりから鎌倉時代には、京都・鎌倉の寺院の他、旧尾張国の熱田神宮などに供給する瓦生産も担っていた。その一方で、六古窯の信楽窯(滋賀)や丹波窯(兵庫)、越前窯(福井)などの壺・甕生産は、常滑窯の技術がその礎にあったことが明らかになっている。
本展では、12世紀から13世紀にかけて生産された壺・甕や瓦などを展示紹介。また、中世を代表する窯業地として君臨した六古窯のひとつ常滑窯を採りあげ、尾張で生産されたやきものから窯業大国「愛知」の源流を検証していく。