水上都市のカーニバルに見るヴェネチアン・グラスの美 ~2020年仮面祭企画展~
19/12/27(金)~20/4/3(金)
箱根ガラスの森美術館
アヴェンチュリン・マーブル・グラス碗 1668年 ヴェネチア
世界三大カーニバルの一つであるヴェネチアン・カーニバルでは、仮面をつけて仮装した人々が行き交い、現在でも幻想的な光景を醸し出している。
文化が爛熟期を迎えた18世紀のヴェネチアは、ヨーロッパ諸国の人々にとって憧れの地だった。ルノアールやゲーテなど、多くの文化人も引きつけられ、滞在している。音楽家ヴィヴァルディや劇作家ゴルドーニの活躍は、約半年も続いた絶頂期のカーニバルに一層の花を添え、大勢の人が歓楽と饗宴を楽しんだ。
地中海世界の覇者として君臨したヴェネチア共和国で活躍するガラス職人たちは、イスラム文化圏から伝わったエナメル彩を発展させた他、白磁を模した乳白ガラスや糸を編みこんだようなレース・グラスなど独自の技法を開発。王侯貴族を魅了した高級ガラス製品の生産と輸出は国策として推進され、ヨーロッパ中のガラス工芸に多大な影響を与えた。
本企画展では、ヴェネチア伝統の仮面劇「コメディア・デラルテ」の登場人物を表現したガラス人形、異文化の影響を受け、生み出された多様なガラス技法、春の訪れを待つカーニバルに相応しい華やかな装飾を施したガラス作品などを通して、東西の文化の交わる水上都市ヴェネチアが生んだカーニバルの文化と熱気を紹介する。