ドローイングの可能性
20/6/2(火)~20/6/21(日)
東京都現代美術館
本展は、線を核とするさまざまな表現を、現代におけるドローイングと捉え、その可能性をいくつかの文脈から再考する試み。
デジタル化のすすむ今日、手を介したドローイングの孕む意義は逆に増大していると言えるだろう。それは、完成した作品に至る準備段階のものというよりも、常に変化していく過程にある、ひとや社会のありようそのものを示すものだからだ。
この展覧会では、イメージだけでなく手がきの言葉も含めて、ドローイングとして捉え、両者の関係を探る。また、紙の上にかく方法は、揺らぎ、ときに途絶え、そして飛翔する思考や感覚の展開を克明に記すものだが、このような平面の上で拡がる線だけでなく、支持体の内部にまで刻まれるものや、空間のなかで構成される線も視野に入れ、空間へのまなざしという観点から、ドローイングの実践を紹介する。更に、現実を超える想像力の中で、画家たちを捉えて離さなかった、流動的な水をめぐるヴィジョン(想像力による現実を超えるイメージ)というものが、ドローイングの主題として取り上げられてきた点に注目する。
最も根源的でシンプルな表現であるドローイングは、複雑化した現代において、涯しない可能性を秘めるものだろう。