【当面の間休館】特集展示(第3展示室) 『もの』からみる近世「和宮ゆかりの雛かざり」
20/2/26(水)~20/4/5(日)
国立歴史民俗博物館
幕末の動乱期、波乱にとんだ生涯を送ったことで知られる和宮は、仁孝天皇(にんこうてんのう)の第8皇女として生まれ、「公武合体」の証しとして文久元年(1861)14代将軍徳川家茂(とくがわいえもち)に降嫁した。
今回の特集展示で展示する雛人形・雛道具類(当館所蔵)は、和宮所用として伝来したもので、有職雛(ゆうそくびな)と呼ばれる種類の雛人形と、江戸七澤屋(ななさわや)製の各種雛道具、御所人形および三ツ折(みつおれ)人形などが含まれる。
上巳(じょうし)(三月三日節)にとりおこなわれる雛まつりの行事は、江戸時代に入ってから広まりをみせ、多くの女性たちの支持を集めた。儀式が定着するにつれ、その装飾は華麗なものとなり、時代時代の流行を取り入れながら、寛永雛、元禄雛、享保雛、次郎左衛門雛、有職雛、古今雛と俗称される多彩な雛人形や、精巧に作られたミニチュアの道具類が生みだされていった。『和宮様御雛満留』(宮内庁書陵部蔵)や『静寛院宮御側日記』(同)、『和宮様おひゐな御道具』(内閣文庫蔵)などの記録によれば、和宮は、数多くの雛人形を手もとにおき、また上巳にはあちこちと雛人形を贈りあうなど、雛まつりを楽しんだようだ。同館所蔵の雛人形・雛道具はその一部をなしていたと考えられ、江戸時代の文化や工芸技術を伝える資料として貴重である。