雨足に沿って 舵をとる Steering along with tempo of rain.
20/7/4(土)~20/8/9(日)
アキバタマビ21
朝に見た天気予報の話では、
夜更けには雨が雪へと変わるだろう、ということだった。
窓には数え切れないほどの水の膜がへばりついていて、
景色をひっくり返しながら、目の前の膜はゆっくりと流れていった。
周りの膜を飲み込みながら、そして、飲み込みすぎた水を足跡にしながら。
街中を並縫いした線は、まだぼんやりとジョギングしていて、
車のヘッドライトのそばで、街灯のそばで、現れては消えていく。
それはやがて、肥えて、たくさんの白い線となって、
小さな海となって、周りをとり囲み、
いつも、その間を私たちは道標にしている。
あるいは、何にも囲まれてなどいなくて、
ただただ、雨足に寄り添っているだけなのかもしれない。
そこには、遠さも近さも存在しない。
雨足を追いかける。
雨のコードを編み込んで、
速度にのって帆を張って、舵をとろう。