名作展「旅行く心 龍子が描いた日本の風景」
20/4/4(土)~20/8/23(日)
大田区立龍子記念館
日本画家・川端龍子(1885-1966)は、戦後、「それまであまり手がけなかった風景画の方面に熟達したい」という思いから、四国遍路の旅におもむいた。その旅路の中で、たとえ四国八十八ヶ所を巡り終えたとしても、自らの「画道遍路」は果てしがなく、「おそらく死ぬまで終りを知らぬ旅がつづいている」ことを悟ったと龍子は言っている。そして、四国遍路を打ち終えると、西国三十三所、坂東三十三観音の巡礼に画家は旅立ったのだ。いわば、旅行く心は、戦後の龍子の画道追究における原動力であったのである。
本展では、戦後の龍子の制作を特徴づける「画道遍路」によって描かれた作品として、西国巡礼から《長谷寺》、《清水寺》、《保津川下り》(1959年)、坂東巡礼から《大谷石仏》、《榛名社頭》(1962年)等を出品。そして、日光を描いた《眠猫》(1933年)、《三申図》(1955年)、和歌山の熊野川を表した《筏流し》(1959年)、第二の故郷と親しんだ修善寺から富士を望んだ《寝釈迦》(1954年)といった大画面の風景画を紹介する。龍子が「画道遍路」の中で生み出した風景画を通じて、記念館にいながらにして日本各地の名所や史跡へと旅立ってみよう。