館蔵品展 狩野派学習帳 今こそ江戸絵画の正統に学ぼう
20/7/11(土)~20/8/10(月)
板橋区立美術館
逸見一信「布袋唐子図」
近年、奇想天外で刺激的な画風の江戸絵画がますます人気を集めている。しかし、幕府や諸大名の御用として圧倒的に支持され、江戸絵画の正統であり続けたのは「狩野派」だった。
狩野派とは、室町時代から幕末まで実に400年にわたり、血縁関係でつながり幕府の仕事を行ってきた絵師の専門集団。江戸時代には、徳川幕府に仕えるため京都から江戸へ活動の本拠地を移した狩野探幽(1602~1674)が、狩野派の活動を一層堅固なものにした。新たな時代様式をつくった探幽をはじめ、その一門は「江戸狩野派」と呼ばれている。
狩野派は、個人の才能による「質画」よりも、模写を重ね伝統を守り伝える「学画」を重視し、和漢の古典を学び画風の継承につとめてきた。そのため、江戸狩野派の作品は、強烈な個性や目新しさを競うのではなく、確かな実力を蓄えた安定感のある筆づかいに特徴がある。その一方、時代の変化や好みに寄り添い変容して発展してきた。
本展では、たっぷりの余白と軽妙な筆致による作品の探幽をはじめ、力強い輪郭線により狩野派の原点を示した典信や、水墨表現から細密描写まで幅広い画技に長けた栄信や養信、さらに近年注目が集まる女性絵師の清原雪信や幕末に活躍した逸見一信まで、江戸狩野派の魅力をご紹介し学べる機会とする。また、近年収蔵した江戸絵画も初お披露目する。