沖潤子「刺繍の理り」
20/7/18(土)~20/8/22(土)
KOSAKU KANECHIKA
沖潤子は、古い布や道具が経てきた時間、またその物語の積み重なりに、刺繍と彼女自身の時間の堆積を刻み込み、紡ぎ上げることで、新たな生と偶然性を孕んだ作品を発表してきた。
現在開催中の山口萩美術館・浦上記念館での個展「anthology(アンソロジー)」では、全国から寄せられた7,000個あまりの糸巻きを用い、新たに紡ぎ生まれたインスタレーション作品を展示。それぞれの糸巻きの、そしてその所有者たちの過ごしてきた時間と、布を支持体におびただしい数の針目によって立体化された沖の刺繍の造形が、会場となった美術館の茶室で出会い、一年という展示期間をかけて新しい物語を作っていく。沖の刺繍はいわば、それぞれの時間を出会わせ、混ざり合わせ、新しいものを生み出すための媒体といえるかもしれない。
一方、同展で展示する作品はシンプルに、刺繍というもの自体に向き合ったものになっている。