開館50周年記念 美術館を展示する 和歌山県立近代美術館のサステイナビリティ
20/12/1(火)~20/12/20(日)
和歌山県立近代美術館

美術館や博物館は、長く時間を積み重ねることを前提としている。「コレクションの50年」展で紹介する「収集」活動に加え、作品をより良い状態で次の世代に引き継ぐ「保存」のほか、それらを支える「調査研究」は、活動が蓄積されることによって意味を成す。「展示」や「展覧会」は、より多くの人に美術や美術作品の価値を伝え、また社会に多様な視点や議論を生み出す場としての役割を担っているが、それはつまり講演会やワークショップなどの特別な機会でなくとも、展覧会自体が「教育普及」的側面を持っているということだ。こうした場が常に地域にあることが、誰しもに開かれた学びの場を保証することにつながっている。
ではどのようにして美術館はその活動を続けていけるのだろうか。もちろん運営という面では財政的課題があるが、コロナ禍によって極端な集客を求められなくなったいま、都会や地方の隔てなく、多くの美術館が活動のあり方を探っている。同館もまた例外ではない。しかしすでに50年という活動を続けてきたなかにはヒントがあるはずだ。地域社会とのつながりに目を向けながら美術館活動を継続すること、そして同館がこの地にこれからも根を張っていくことを「サステイナビリティ(持続可能性)」と捉え、これまでの活動とこれからの課題を検討する。