ニューミューテーション＃4　小嶋晶・小林椋

私たちの生活はコロナ禍でも、それ以前でも小さな仕組みの組み合わせによって形作られているが、その組み合わせの裏側には、選択されなかった構成要素やシステムがいくつも存在している。小嶋晶と小林椋を紹介する本展では、既存の構造から未知の仕組みを生み出す過程に注目し、彼ら独自の「ありえたかもしれない」組み合わせの想像と観察の視点を探る。
小嶋は、「アニマ（ラテン語で生、魂の意）」に関心を持ち、「生」について多角的な視点から映像や立体物、ドローイングなど様々なメディアで表現を試みている。現在は、常識的に考えられてきた枠組みが覆されニューノーマルに置き換わる状況の中で、日常を再構成するためのシーケンスとして「食卓」シリーズを展開している。
小林は、事物に物的な装置を挿入したり、類推させることで生じる飛躍や不和の現象を観察しながらどこかぎこちない規則的な反復運動を繰り返す装置群の制作を続けている。
2人の作品は、既に構成された事物や装置を対象に、もう一つのシステムを思索することで生まれる。本展を通して、外的干渉や環境の変化に晒される今だからこそ身の回りの既知のシステムに目を向け、そこに潜在する異なるレイヤーを交錯させるきっかけを創出することを目指す。