特別展 浦上玉堂 ~画法は知らず ただ天地(あめつち)の声を聴き 筆を揮う~
21/10/13(水)~21/11/13(土)
東京黎明アートルーム

江戸時代後期を代表する文人で、琴・詩・書を能くし、何より優れて独創的な水墨画家であった浦上玉堂(1745-1820)。同館はかねてより彼の作品に着目してきた。
昨年、2020年は没後200年にあたったが、新型コロナ感染症の拡大により、記念展覧会の開催を見送らざるを得なかった。しかし、本年に入って『浦上玉堂関係叢書』が完結するなど玉堂研究は新たな段階へと歩みを進めており、同館ではその成果を活用しつつ開催へと踏み込む決断をした。
本展では初公開作品を含む約40点の玉堂の書画を展観する。
玉堂は50歳で備中鴨方藩を脱藩し、故郷の岡山を離れて各地を遊歴し、多くの友と語らい、自娯のために制作活動を展開する自由な境涯を選択した。七絃琴を常に携え、詩を詠み、水墨の筆を執って山水を描く彼の藝術は、意の赴くままに旅に出たり親しい人に会うことがなかなか叶わない今の私たちへ、きっと清々しい風をもたらしてくれることだろう。玉堂画が奏でる旋律に心を委ね、深山に身を置いて深呼吸するかの如きひとときをお過ごしいただけたら幸いである。