明日への祈り展 ラリックと戦禍の時代
22/3/19(土)~22/11/27(日)
箱根ラリック美術館
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ルネ・ラリック(1860-1945)が生きた20世紀は、世界が大きく揺れ動いた時代だった。1914年に人類史上初の世界大戦が、1939年には第二次世界大戦が勃発し、多くの命が奪われた。戦争は、ラリックの創作活動にも大きな影響を及ぼす。第一次世界大戦時、閉鎖に追い込まれた工場では、実験用ガラス器具や衛生用ガラス製品の製作を要求され、作品をつくることは叶わなかった。
そのような中、ラリックは国会などの要望により、兵士や戦争孤児、そして当時流行していた感染症・結核を患った人々のため、チャリティイベント用のブローチやメダルを制作し、その売り上げが困窮者へ寄付された。これらの作品は、決して煌びやかではないものの、芸術で人々の心を豊かにしたいというラリックの願いが込められている。そして第一次世界大戦終結後、ラリックは悲しみを鎮めるかのように、ガラスを使用し、教会などの祈りの場の内装を手がけた。
本展では、フランスの苦難の歴史と戦争で傷ついた人々のため、ラリックにより作られたチャリティ用のメダルやブローチ、キリストや天使をモチーフにした作品などを、祈りをテーマにご紹介する。新型コロナウイルスが猛威をふるうなか、21世紀を生きる私たちもまた、何かに祈り、明日に希望を見出し、今を生き抜こうとしている。どんな時にも人々の心にそっと寄り添ったラリックの作品をどうぞご覧いただきたい。