吉田涼香展「あした」

「あした」 727×910mm／アクリル絵具、綿布、木製パネル／2022年

吉田涼香は、アクリル絵具の特性を活かした色彩構成、豊かな階調で、自然の中一人で過ごす子どもや物思いに耽ける子どもを描く抒情画家。
その情景はリアリティを帯びながら、決して写真的写実に収まらない温度を持った風景表現だ。誰しもが心の中に持つ体験したことのある心象風景と重なり、鑑賞者は作品に自分の記憶とのつながりを見出す。画中の少年は鑑賞者自身と重なるような効果を生み自然と感情移入し、作品世界を通じて自己との対話に導いてくれる。
この度の個展のタイトルは「あした」。
『昨今の時世による不自由さや不安の中でも、思い出を慈しんだり、未来を想像することで見える希望を表現したいと思いました。』（吉田涼香）
素直に強く明日を向く少年の姿がいまだ先行き不透明な日常を生きる私たちの背中をそっと優しく押してくれるような作品たち。
この機会に是非ご高覧いただきたい。