村田 朋泰|Small Landscape
22/4/9(土)~22/5/7(土)
GALLERY MoMo Ryogoku
現在村田が制作中の、2011年の東日本大震災と福島の原発事故を契機に、生と死に関する記憶の旅をテーマにしたシリーズ4作目となる映像作品の制作様子を「祈りのリハーサル」として公開します。
このシリーズは5つの物語で構成される予定で制作され、第1作目となる『翁舞 / 木ノ花ノ咲クヤ森』は福島の原発事故をテーマに、第2作目の『天地』は活断層でできた日本列島をテーマにし、第3作目となる『松が枝を結び』は震災を、日本列島の起源及びアイデンティティを探る叙事詩的映像作品を制作してきました。今回のシリーズ4作目となる映像作品は、古事記の一節カグツチ神話をベースに、縄文時代を背景として制作。
博物館や資料館の模型がミニチュアというだけで魅せられてしまうと言う村田は、今回のシリーズで、今まで1/7スケールで制作していたパペットやセットを1960年代のミニチュア制作で用いられた1/50スケールに変更しました。パペットは、小さくなり過去作品の中で村田が見せてきた細やかな表現はできなくなったものの、単純化され感情が抽象化されるかわりに、全体を俯瞰した風景は映し出しやすくなり、「儀式」という行為、またその全体の世界をフォーカスしようとしています。
今回の作品は、古事記で「火の神カグツチがその父親イザナギに殺され、身体が8つの山の神になった」と言う記述からインスピレーションを受け、物語を展開。日本の物語の原点という視点から初期より村田が関心を寄せる「古事記」、「日本書紀」などの神話や昔話では、登場する人物に「肉体的な奥行きがなく、手足が切り取られても血が流れないし、外傷ができるわけでもない。『形代(かたしろ)』のように平面で、破れたら縫い合わせたり、貼り付けたりすればよい。そこには重苦しい感情も性格もなく、平坦に淡々と描かれている。」と述べ、今までと違うスケールで撮影することで、そうした神話が持つ抽象的な感覚を忠実に描けるのではないかと考え、「ミニチュアのミニチュア」での撮影を試みる。
また、村田の最新作の撮影の様子をギャラリーに定点カメラを設置し、ギャラリーだけでなく、Youtubeでの生配信を利用し公開。映像作品制作の過程やミニチュアのセット、絵コンテ、ミニチュアセットの設計図やアイディアの元となった資料など制作のインスピレーションも合わせて展示する新しい試みで、普段、見ることのできない制作の裏側や、村田の制作のプロセスが垣間見える展示となるだろう。