村山悟郎 × 井村一登 <重複するイメージ>
22/5/20(金)~22/6/12(日)
アートフロントギャラリー

村山悟郎と井村一登は共にアートフロントギャラリーでは初めての展示となる。
自然界に内包される秩序を可視化するという点で、互いに緩やかに通じるところがあるように思われる。
村山悟郎は、自己組織的なプロセスやパターンを、絵画やドローイングをとおして表現しているアーティスト。既に描かれた要素に触発されながら次の一手が紡ぎだされる制作プロセスは、絶えず生成と分解を繰り返す生命的なパターンを想起させる。タンパク質の構造や貝殻模様など、生命が組織化することで生み出される線が作品を支えているようだ。
2019年の瀬戸内国際芸術祭では、男木島の浜口邸にて壁画作品《生成するウォールドローイング-日本家屋のために》を発表。築90年の古民家の内壁を埋め尽くす植物のモチーフは蔦のように生長した。今年4月14日から始まった瀬戸内国際芸術祭春会期では、現地制作を含め新たな作品が加わっており、代官山のギャラリー展示では芸術祭と連動した作品の発表を予定している。
井村一登は、ハーフミラー、球体鏡、LEDなどを用いて視覚や認識に関わる光学的な作品を制作している。近年は鏡の歴史を紐解き、鏡の素材や技法を再構成することで「自分が映らない」鏡を手掛けるほか、様々なマテリアルを用いて制作の可能性を拡げている。
作品発表の場についても、瀬戸内国際芸術祭2016内のプログラムでは京都造形芸術大学城戸崎和佐ゼミ設計の『竹の茶室』に作品を設置したほか、近年は製薬会社やホテルなどにその土地の素材やテーマから制作したコミッションワークがコレクションされており、生活に分け入った場所に輝きを与えている。2月に行われたマツモト建築芸術祭ではまつもと市民芸術館の階段に沿って、和田峠の黒曜石を素材とした鏡を展示し、建築家伊東豊雄の設計と軽やかに調和する空間を創り出した。
情報技術や自然環境と絡み合う二人のアーティストのチャレンジを、ぜひご高覧いただきたい。