Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

元田久治:CARS

22/6/24(金)~22/7/17(日)

アートフロントギャラリー

元田久治は1973年熊本県出身、九州産業大学 芸術学部に在学中に版画技法の一つであるリトグラフと出会い、その後東京藝術大学大学院での版画専攻とオーストラリアとアメリカでの滞在制作を経て、リトグラフ版画家としてのキャリアを積んできた。元田作品を特徴づける点として、東京タワーや渋谷のスクランブル交差点など、国内外の誰もが知っているランドマークを廃墟と化した、精密な風景画が挙げられる。2004年頃から描き始めた一連の廃墟の風景は、人工的な構造物が風化し自然に帰る過程への興味や、地元から上京してきた際に感じた都市風景に対する違和感に通底しているという。2018年に松濤美術館で開催された『終わりのむこうへ:廃墟の美術史』展では、今日の廃墟画として「今は必ず過去になる」メッセージを孕む元田の作品が大きく取り上げられた。
アートフロントギャラリーでは2017年以来となる本展では、元田はこれまでの作風からの新展開を発表する。本展タイトル「CARS」と銘打たれた一連の新作では、現実の世界の道路をそのまま切り取って持ってきたような実物大のアスファルトと白線を背景に、実物大の、古びて劣化したミニカーのリトグラフが無数にコラージュされている。これまで描かれてきた廃墟風景は既存の建物が空想上で廃墟化され、精密なタッチがリアリティを持って鑑賞者に迫ってくるのに対し、「CARS」シリーズでは、写実的な描写は健在なものの、背景の道路とコラージュされるミニカーがともに実物大であるが故に、その前景にあるミニカーのスケールのミスマッチを印象的に感じさせる。ドローンの偵察映像を彷彿とさせる、上空から真下に見下ろすような視点で展開される無数のミニカーは乾ききった路面上に、あるときは方向をそろえ、またあるときは無秩序に散らばる様相を呈する。その一貫性のなさは、近年のコロナ禍や開戦間もないウクライナ等、解決の糸口の見えない情勢に迷い、不確かな情報に右往左往する人々を映しているようでもある。リアリティ溢れる研ぎ澄まされた描写感覚を用い、今日の社会動向の核心を俯瞰して表現する元田久治の新境地を是非ご高覧いただきたい。

開催情報

ジャンル
ギャラリー

12:00~19:00、月曜日、火曜日休廊

※土・日は11:00~17:00

料金

無料

出品作家

アプリで読む