池田幸穂|虹を煮つめて、風景をつづる
22/7/2(土)~22/7/30(土)
GALLERY MoMo Ryogoku
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1986年東京生まれ、2009年武蔵野美術大学を卒業後シェル美術賞展や東京ワンダーウォールなどに入選。日本庭園や動植物などの自然、あるいは身近な人物などをモチーフに、時に独特な視点から捉えて描写。中間色による優しく柔らかな色彩感は見る人を和ませ、不穏な状況でさえも心地よく癒される作品を展開しています。
当初、池田は人物も風景も客観的な対象物として描いてきました。しかし社会の中に身を置き、震災後の東北の大地を踏みしめ、日々自然や社会に翻弄されながらつつましくも強く生きる人々と出会い、心を開くことで人との関係が繋がるのを実感。自他を超えて痛みや弱さを共有し、作品を通して相互に励まし生きようとする意識を持って制作してきました。
今展では、コロナ禍でのステイホームの経験を基に、食料の「貯蓄」、「動植物」の営み、そして全ての生命の「移動」の3つをテーマに展覧会を構成する予定です。
便利な生活の中で、突然制限された生活は、特に都会に住む多くの人々に私たち自身の生活を見直す機会となりました。また、池田は人間だけではなく、虫や動物、植物にも目を向け、その影響が人間だけでないということを強く認識しました。私たちにとって苦境とも言える状況の中で、ポジティブな面に着目し、「生きる未来を明るく照らす光を強く表現したいと思うようになった」と言うように、以前の作品よりも陰影を強調させ、立体感や奥行きを出すことで、池田が長年描き続けている平穏な世界が前面に表現されています。
普段はなかなか気づくことのできない身近な「虹」を発見し、その風景を池田独特の世界観に落とし込んだ風景を、ご高覧いただければ幸いです。