理想の書物 —英国19世紀挿絵本からプライヴェート・プレスの世界へ—
22/9/17(土)~22/11/13(日)
群馬県立近代美術館

ローレンス・ハウスマン画、 クリスティーナ・ロセッティ著 『ゴブリン・マーケット』1893年刊より カバー(左)、表紙(右) 群馬県立近代美術館蔵
世界に先駆けて産業革命を成し遂げたイギリスでは、中産階級の台頭を みた18世紀末から19世紀にかけて読書の需要が高まり、大量の書物の出版が促されるなか、伝統的な本作りの変化が余儀なくされた。そこに起こったのが、印刷の黎明期である15世紀や、さらに中世の写本にまで遡って本作りを研究し、あらためて読みやすく美しい本を作ろうとするプライヴェート・プレス運動だ。ウィリアム・モリスが手がけたケルムスコット・プレスに代表される、選び抜かれた紙、活字、デザイン、装丁で本に仕上げる小規模の出版活動は美術的に価値の高い、また機能的で読みやすい出版物を生み、本作りにおけるひとつの理想型を作り上げる。本展では、美しい本作りの伝統をつないだ19世紀イギリスの挿絵本を中 心に紹介する第1部と、プライヴェート・プレスの出版物に焦点を当てる第2部により、理想の書物を求めた運動を跡づけることを試みる。