黒川弘毅——彫刻/触覚の理路
22/10/24(月)~22/11/20(日)
武蔵野美術大学美術館
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本展は、武蔵野美術大学彫刻学科で教鞭を執ってきた彫刻家・黒川弘毅の退任を記念し開催される展覧会だ。「触覚を物体の表面に向けられた感覚と見なすのは誤りである。触覚は微細で馴染みのないものを遠く隔たった場所で感知する。それは彼方のものへ向かいつつそれ自身が目指すものとなって内側で自らを隔てる」*と語る黒川は、立ち現れてくるものの実在性や物質性、そして触覚に対する思索を巡らせながら作品の制作を続けてきた。
原型はなく鋳型だけを用いるという独自の手法によってブロンズ作品を生み出してきた黒川の、《SIRIUS》から始まる七つのシリーズの主要な作品約240点を余すことなく展示する。また試行錯誤の様子が見て取れる学生時代の具象作品、さらには《Eros》シリーズの最新作も出品。
膨大なヴォリュームの作品群を通して、黒川の最初期から現在に至るまでの50年におよぶ思索の軌跡を辿り、彫刻作品が持つ量塊・物質の感触やその実在性を体感する機会となれば幸いである。
*『20ste Biennale Middelheim-Japan/Japanese Contemporary Sculptures』(1989年)カタログより