倉田悟 「2P」
22/12/17(土)~23/1/21(土)
小山登美夫ギャラリー

2P(よなぎ・きかいのめ) 2P (Night Calm, the Eyes of the Machine) 2022 oil on canvas 149.0 x 199.0 cm ©Satoru Kurata
この度小山登美夫ギャラリーでは、倉田悟展「2P」を開催する。
今回SUNDAY、CAPSULE(池尻、東京)でも個展を開催、3ヶ所で同時に新作を発表する。
倉田悟の作品には、仮面のような動物化した人間や、擬人化された動物が、静謐な存在感と、ユーモラスでありながら時に不穏さを帯びて描かれる。
作品に繰り返し登場するモチーフは、夕暮れ、海、夜、車、卵、寝るという行為など、作家の記憶に強烈に残っている「極めて個人的」な経験から着想を得ているという。
そうしたインスピレーションと、デジタル・ドローイングや物質的な制作プロセスとの反復の間で、倉田は「イメージの解像度を上げたり下げたり」することで、絵画でしかありえない表現を模索する。
独特のパースペクティブやビビッドな色彩、光の処理や描線はどこかデジタル画像を想起させる一方で、それらは絵具の繊細な厚薄や何も塗らない麻布のまま残された処理、筆触といった絵画の物質的要素と、キャンバスのスケール感という人間の身体との関係からできている。
本展は倉田が近年取り組んできた、画面を複数に分割するシリーズで構成される。
作家はこれまでも類似した手法を用いてきましたが、新作においては各登場人物から見た一人称の異なる景色が、分割により一つのキャンバスに共存することが特徴だ。
こうした構成は、鑑賞者に自身の記憶や夢のワンシーンを追体験しているかのような印象を与えると同時に、倉田が「作者も鑑賞者の存在も介在しない自閉的な視覚空間を作ろうとしている」と述べるように、絵画史に遍在する、画中のできごとを俯瞰する三人称的なまなざしへの挑戦でもある。
絵を見ているのは誰か、絵を見るとは何か、という絵画における根本的な問いを誘発させる倉田の新作を、ぜひこの機会にご高覧いただきたい。