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魂―身体 そして光 母袋俊也

22/10/22(土)~23/1/22(日)

原爆の図丸木美術館

展示会場風景 撮影:内田亜里

母袋俊也は、絵画とは何かという問いを、画面にこめられた精神性と、「フォーマート」(縦横比)の形式の問題から理論的に探究し続けている美術家です。
東京造形大学を卒業後にドイツに留学した母袋は、日本の建築空間における障壁画や屏風が偶数の画面で連結していること、それに対して西洋の祭壇画は奇数の画面が連結し中心性を重視していることに気づきました。そうした形式をみずからの絵画制作の実践で検証する過程で、16世紀はじめにグリューネヴァルトが描いたイーゼンハイム祭壇画の《磔刑図》を参照しつつ、《ta・KK・ei》(1998)を制作します。
長い歳月をかけて、障壁画に着想を得た偶数の画面が連結する横長形式の〈TA〉系、西洋のイコンや仏教美術などの精神性を正方形の画面に構成した〈Qf〉系といった作品を展開し自身の絵画理論を深め続けてきた母袋は、近年、丸木美術館に通いながら、「原爆の図」の存在に深い関心を寄せるようになりました。母袋の構築する「フォーマート」の理論のなかで、「原爆の図」はどのように位置づけられるのでしょうか。
また、新型コロナウイルス感染症の流行が世界的に広がるなかで、母袋はグリューネヴァルトの《磔刑図》の抱えていた精神性にも注目します。この絵画は、当時流行病の治療を行う修道院に飾られ、病人たちの抱える痛みをキリストの痛みと重ねて昇華する役割を担っていました。現代における芸術の使命について考える母袋は、再び《ta・KK・ei》の連作を描きはじめ、そして現在は、原爆の図第3部《水》を基にした新作《TA・GEMBAKZU》に取り組んでいます。
“眼下を流れる都幾川を見下ろすように河岸段丘の上に建つ美術館は、ほんの少し大地より浮いた場に属し、はるか上方の聖なる場とは異なり、そこはとりわけ身体と魂の運動の磁場”である。――母袋はそのように丸木美術館という「場」を位置づけています。
本展は、2020年に再始動した《ta・KK・ei》連作と《TA・GEMBAKZU》などを中心とし、プラン・ドローイング、《Himmel Bild》、《ヤコブの梯子・枠窓》を展示空間に設置することで、コロナ・パンデミック、核の脅威や戦争に揺らぐ世界の現実を生きる私たちと、芸術とのかかわりを探るものとなるでしょう。

開催情報

ジャンル
美術館

9:30~16:30、月曜休(祝日の場合は翌平日)

料金

一般900円、高中600円、小学400円

出品作家

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