ギンザ・グラフィック・ギャラリー第393回企画展 DNPグラフィックデザイン・アーカイブ収蔵作品より 動物会議 緊急大集合!
23/2/9(木)~23/3/25(土)
ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)

Design:Kazumasa Nagai
ドイツの詩人・作家であるエーリッヒ・ケストナーによって絵本『動物会議』が書かれ、出版されたのが1949年のこと。子どもたちのために、戦争のない世界をつくろう! と、怒りと正義によって、世界中の動物たちが立ち上がる物語だ。それから70年以上経つ2023年現在も続く、ロシアによるウクライナ侵攻、止まらない地球温暖化など、戦争や環境破壊を繰り返す愚かな人間に対する動物たちからの痛烈な社会批評だ。人間たちに翻弄され、迷惑を被ってきた動物たちの方がはるかに良識や実行力があるということを、ケストナーは伝えようとした。
同書にインスピレーションを受けて企画された本展「動物会議 緊急大集合!」。DNPグラフィックデザイン・アーカイブの中から、「人間と動物との共存と平和」というケストナーの熱い想いを体現しているポスター作品をセレクト、120点あまりが緊急大集合する。これらは、日本のグラフィックデザイナー、アートディレクター、アーティスト34名が、「動物」を主役や脇役にして、生命、環境、戦争、文化、社会に対する問題意識や危機意識を表明した、グラフィックメッセージでもある。
動物の表現方法は、写真、絵画、イラストレーション、グラフィックなどさまざまだ。古くは花鳥画、琳派、浮世絵などを彩ってきた動物たち。日本美術の伝統を引き継ぎ、奔放で色彩豊か、そして繊細で、理性より感性に訴える、世界に類を見ない独特のグラフィック表現にご着目いただきたい。
2022年5月から7月まで、ローマ日本文化会館にて同タイトルの企画展が開催された。地球温暖化による40℃超えという記録的な暑さにも関わらず、多くの来場者を数え話題となった。こちらの展覧会は現在、規模を縮小してパリ日本文化会館へ巡回中だ。gggでは、ローマでの展覧会を再構成し、さらに多様性を広げた内容をお届けする。言葉は違っても、動物たちは国境を越え、私たちが見失ってしまいそうな大切なことを伝えてくれている。