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杜昆展「七魄」

23/3/8(水)~23/4/8(土)

ミヅマアートギャラリー

杜昆《鼓帆踏浪》(部分)2022 墨、岩絵具、絹 30 x 150 cm ©️Du Kun, Courtesy of Mizuma Art Gallery

ミヅマアートギャラリーでは、 3月8日(水)より、中国人アーティスト杜昆(Du Kun)の個展「七魄」を開催する。
杜昆は、4歳の頃から父親の影響で絵を描き始め、北京の中央美術学院油絵科を卒業した。現在、北京で活動する彼は、独創的で卓越した技法でその名を知られているアーティストだ。
本展は、2021年にシンガポールのMizuma Galleryで開催された個展「Scores of Landscapes」展での風景画の巻物シリーズを引き継ぐもの。
2014年から取り組んできたシリーズ「Revels of the Rock Gods」では、ロックミュージシャンの肖像を微細に描き、その顔や周囲の風景に高い塔や儒教の霊廟、仏教寺院など中国の伝統建築物が描き込まれていた。風景画の巻物シリーズは、そのような杜昆のよく知られてきた作風から全く新しい方向性への展開だ。ミュージシャンでもある彼は、有名なロックスターと中国の伝統的な建築物、そして宗教を融合させることを創作のプロセスとして見出してきた。
杜昆は美術学院在学中にロックミュージシャンとしてプロデビューし、ミュージシャンとして、またアーティストとして、この2つの要素をいかに結合させるかを長い間熟考してきた。これまでの肖像画シリーズは、音楽や有名ミュージシャンをモチーフとした作品を制作するものだったが、彼のロックへの熱と、音楽とアートの融合への強い思いは、ついに本物の音楽を作品のメインコンセプトとする、風景画のシリーズを生み出すこととなった。
この新しい巻物絵画のシリーズは、一見すると自然の景観を描いた中国の伝統的な絵画様式である山水画に似ている。しかし、杜昆は巻物に描かれた山や建物、樹木などの風景を「音波」の形で描いている。描かれた作品には、彼自身が作曲した音楽が付随しており、その音楽は巻物に描かれた音波と呼応している。つまり、それぞれの風景画には、その絵巻にしかないオリジナルの音楽が描き込まれているのだ。
杜昆はこのオリジナルの音楽を、巻物上に風景画の形で視覚的に表現する方法を発見した。音楽ソフトのシンセサイザーのパラメータを調整して音波の形状を操作し、さまざまな音源を使用して、山や雲を連想させる波形を実現する実験を行っている。
作曲した音楽は、重いビートや電子音楽を取り入れた現代的なスタイルで、作品に取り入れた伝統的な中国絵画のスタイルとは対照的な魅力を放っている。展覧会のタイトル「七魄」は、このシリーズのためにデザインし、手作りしたというオリジナル楽器から発せられる7つの音から名付けられた。杜昆が「Seven Souls」と呼ぶこの楽器は、カリンバ、小古筝、テルミンなどの7種の楽器が1つになったもの。この新しい風景画シリーズにおいて、「Seven Souls」を音源とし、その音波と音楽的要素を変換して、杜昆は音の波を巻物上に「描く」のだ。
数千年の歴史を凍結させたかのような古代の生々しい自然の力を呼び起こすこの新しい風景画シリーズは、独特の雰囲気と魅惑的な物語を創出し、鑑賞者をより深く、彼の絵画の世界に引き込む。歴史的に、巻物は画面を右から左に転がしながら、動くパノラマのように図像を見ることで、時間の流れを表現するものだった。この風景画は、巻物に「流れる」音楽を組み合わせることで、さらに時間の流れを私たちに意識させる。杜昆の音楽への情熱が生み出した本作は、音楽とアートワークが一つに絡み合い、深遠で詩的な次元の重なりを感じさせることだろう。

開催情報

ジャンル
ギャラリー

12:00~19:00、日曜日・月曜日・祝日休廊

※3月8日はオープニングレセプションあり(18:00~20:00)

料金

無料

出品作家

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