「柿右衛門」の五色 ―古伊万里からマイセン、近現代まで―
23/4/8(土)~23/6/25(日)
戸栗美術館

濁手(にごしで)と呼ばれる純白の素地に、赤・青・緑・黄・金の5色の彩色を基本として優美な絵付けを施した「柿右衛門(かきえもん)様式」は、1670年代の佐賀・有田で完成された。1660年代以降に本格化する西欧への伊万里焼の輸出を背景に、それまでの濃密な文様構成や濃厚な色合いから、濁手素地を活かした余白の多い構図と明るく爽やかな色調へと変化したものだ。輸出先である西欧では大変な人気を博し、ドイツのマイセンをはじめとして写しが製作され、素地の白さや清爽な呈色が独自に追求された。その後、西欧をめぐる中国との市場競争を理由とした様式変化によって途絶えてしまった柿右衛門様式は、戦後になって12代・13代酒井田柿右衛門父子による「濁手」の復興とともに復活を遂げ、現代にまで受け継がれている。
今展では、世界を魅了した柿右衛門様式の素地や絵具の「色」に着目し、色絵作品約80点を展示する。江戸時代の伊万里焼とマイセン、そして、近現代の「柿右衛門」作品をご堪能いただきたい。