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吉野祥太郎―立てる記憶―

23/4/15(土)~23/5/28(日)

武蔵野市立吉祥寺美術館

《その土地の記憶を汲む》 2015年 地面、コンクリート、鉄 Photo: Shotaro Yoshino

アーティスト・吉野祥太郎(よしの・しょうたろう、1979年生まれ)の主題は「土地の記憶」だ。吉野は国内外において、土地と人との関わりをたどりつつ、その土地を成立させている記憶との対話を通して、大規模なインスタレーション作品や立体作品などの制作をおこなっている。また彼は、土それ自体に記憶が堆積していることを強く意識し、土を表現素材としてもちいるほか、記憶の層としての土を地面ごと持ち上げ「立てる」というインスタレーションも世界各地で実践している。
吉野はこれまで、来訪者として各地に赴き、新たな視座からその土地の記憶を見いだし、大切に持ち上げることによって、作品へと具現してきた。いっぽう、本展の開催地となる吉祥寺は、吉野が幼少期から親しみ、時を過ごしてきた土地であり、いうなれば、彼自身の記憶も吉祥寺という土地の一部を成している。彼は今回の作品制作に向けた取材の過程で、生まれ育った人、移り住んできた人、通勤している人、たまたま訪問した人など、吉祥寺を行きかうさまざまな人びとに会い、吉祥寺に存するさまざまな記憶に触れてきた。それはとりもなおさず、吉野自身の記憶を再認し、現在の吉祥寺に積み重ねなおす作業であったに違いない。
吉野祥太郎の新展開となる本展は、大小の彫刻作品とインスタレーションによって構成される。吉祥寺という土地に堆積し、いままさにこの土地を「吉祥寺」として立ち上げる無数の記憶のうえに、吉野は新たな記憶を立てる。吉野の作品をとおし、私たちもまた、私たち自身の素地にある記憶と向きあい、ふたたび持ち上げ「立てる」こととなるだろう。その体験はまさに、自己存在の再発見でもあるはずだ。
先ゆきの見えない時世にあるが、本展が、私たちがいまここに立っているということを問いなおす機会となるよう、願ってやまない。

開催情報

ジャンル
美術館

10:00〜19:30、4月26日(水)休館

料金

一般300円
中高生100円
小学生以下・65歳以上・障がい者のかたは無料

出品作家

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