加茂昂 惑星としての土/復興としての土
23/2/4(土)~23/4/22(土)
CAFE & SPACE NANAWATA
惑星としての土/復興としての土1(部分) 2023年
以前から福島、特に最近は除染をされた土地や土について関心がありました。そんな折に福島で除染後の田んぼで米作りをされている方にお話を聞く機会があり、米作りにとって除染がどれほど致命的かという事を聞きました。一説によると自然界の土は1cm堆積するのに100年かかると言われています。ということは、除染により田んぼをの表面を10cm削ると、その土地の1000年分の土の歴史を削るということに等しいと考えられます。こういった土地をどのように描くべきかを考えているうちに思いついたのが、私も土を作るところから自分の絵画を始めてみようということでした。土や土地が内在する途方もない時間を感じるため、まずは原料の土から作る、そしてそれは、自分自身の生活の中から生み出そう、というところが今回のスタートでした。土を作るという思いつきには、コロナ禍で始めた家庭菜園も大きく影響しています。畑を考えるということはまずは土を考えるということでした。土という現象が含む無数の死と無数の生のダイナミックさ、土の事を知れば知るほど土自体が生命体なのだと感じました。そして、実際に自分のウンコをコンポストトイレで分解し、約半年かけて堆肥(土)を作りました。コンポストの中の目に見えない世界で行われる分解や生成の過程は不思議に満ちていました。今回はそういった生活の中から出来た堆肥(土)を細かく砕き乾かして顔料にし油絵の具を作り、それを用いて福島の除染された土地を描きました。自身の営みの中からから生みだした土でその削られた土地を覆うように絵にしていくことが、この惑星(生命体)としての、『土』という存在の意義に即した復興、という在り方を表せるのではないか?と考え制作しました。