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玉山拓郎展 Something Black

23/4/8(土)~23/4/28(金)

ANOMALY

<align=”right”>玉山拓郎《Something Black》(2022)「六本木クロッシング2022展:往来オーライ!」展示風景、森美術館、東京、2022-2023 撮影: 大町晃平

玉山拓郎 (たまやま・たくろう b.1990)は、身近にある事象や、ファウンド・オブジェクトを用いて、空間を異化させる立体作品やインスタレーションを制作しているアーティストだ。
同ギャラリーでの玉山の個展は、2021年に開催された「Anything will slip off / If cut diagonally」以来、2度目となる。
本展「Something Black」は、森美術館で行われた「六本木クロッシング2022展:往来オーライ!」に出品された《Something Black》を再構成し、新作とともに見せる展覧会。
六本木クロッシングにおいて、同館53階の展示室の中でも取り分け大きな窓から東京の街を一望できる展示室にインスタレーションを展開した玉山は、大きな窓ガラスを赤いフィルムで覆い、室内も照明で赤く染めた。
展示室に置かれた黒い物体の「それ」(=《Something Black》) は、一見すると都市のようにそびえ立つ構造物のようでいて、しかしながら都市と断言するには小さくもあり、よく見ればその形状は普段私たちが見慣れた、室内にある家具を象ったようにも見える。
そうかといえば家具として慣れ親しんだ身体感覚からは程遠く、違和感を覚えるほどそのスケールは肥大化している。この「膨張した室内」を前に鑑賞者は自分が小さくなったような感覚を味わい、視線を改めて赤い窓に向ければ、眼下に広がる東京の街並みさえも黒く角ばった「それ」のように見えてきて、まるで外の都市空間と、展示室で対峙している「それ」とが = (等価) であるような錯覚すら覚える。
「それ」に埋め込まれたブラウン管テレビはまるで建物の窓のようでいて、その窓から見える景色 (=3Dアニメーション) は、時間が引き伸ばされたかのように果てしなくゆっくりと進んでいる。それは拡大/縮小し、内側/外側を行き来するような、時間の感覚さえも不確かで、身体感覚を揺さぶるようだ。
鑑賞者も赤く染められ、否応無しに作品世界の一部になる「光」の存在にくわえ、重低音が不穏に響くドローンミュージックが空間を満たすことによって、鑑賞者は玉山の作り出す夢想的な空間の中で、作品世界/現実世界の境界に沈むような感覚を喚起する。
最小限の傾き、もののボリュームと光により空間を変容させる玉山の関心は、近年、建築へと向かっているのかもしれない。「NACT View 01 玉山拓郎」(国立新美術館、2022年) に展示した《Museum Static Lights》は、黒川紀章建築による同館の巨大な逆円錐状の柱の一部分を採寸し、その曲線をなぞった赤い蛍光灯をそのままのボリュームで、柱が見える床に展示した。
大きな曲線型の窓ガラスが開放的なパブリックスペースで光の制御が不可能な空間において、昼/夜の時間帯によって作品の見え方が異なることを念頭に、日中は作品の鉄のフレームが建築的で無機質かつ無骨な「立体物」としての存在感を見せ、日が落ちていくと徐々に構造体は目立たなくなり、暖かなオレンジ色の光が美術館を充満させ、どこか有機的な光は、美術館の外へと膨張していった。
玉山によると、ロサンゼルスのギャラリー、Nonaka Hillでの展覧会「Takuro Tamayama and Tiger Tateishi」 (Nonaka Hill、2019年) において、日中の外光を遮光するなどの案も出たものの、光が干渉する環境自体そのものをそのまま受け入れ、むしろ活かすことに舵を切ったことが、こうした制作/展示への一貫した姿勢の始まりだと言う。
また昨年、京都新聞ビルの地下で行われた展覧会「Sony Park展 KYOTO」で発表した《Static Lights : Tilt and Rotation》は、かつてそこにあった新聞印刷のための輪転機の存在が作品を生み出すきっかけとなり、場所は玉山の作品にとって重要な要素の一つだ。
その後、今年に入り「EASTEAST_TOKYO」(於・科学技術館) で再度展示された本作品は、出自とは無縁の場所だったが、そのミニマルなフォルムによってか肥大した化学模型を彷彿とさせ、多角的な解釈を許している。
このたび、ANOMALYの空間において玉山は《Something Black》を、森美術館とは異なるアプローチで、同じ作品が持つもう一つの姿を展開する。

開催情報

ジャンル
ギャラリー

12:00~18:00
日曜・月曜・祝祭日休廊

※火・水・木・金・土開廊

料金

無料

出品作家

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