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ニューミューテーション#5 倉敷安耶・西村涼「もののうつり」

23/6/24(土)~23/7/30(日)

京都芸術センター

本展で紹介する倉敷安耶と西村涼は、ともに「転写」という技法を用いて作品を制作するアーティストだ。一般的に転写というと、イメージを綺麗に写し取ることや、正確な複製の手法として捉えられることが多いが、しかし2人の制作手法はその真逆の特性を持つ。倉敷と西村の「転写」はむしろ、物理的なものから観念的なものまで、あらゆる外的要因が制作の過程で非可逆に作品へと引き受けられ、転写される元のイメージと混在していく「うつし」の技法なのだ。
倉敷はこれまで「メディウム転写」や「シンナー転写」を用いて作品を制作してきた。紙に印刷したイメージを、アクリル樹脂系のメディウムやシンナー溶剤によって支持体へと写し取り、乾燥させた後、表層の紙を水で濡らして刮いでいくという手法だ。彼女は絵画作品などを制作する際の下絵のために用いられるこれらの手法そのものに着目し、使用するメディウムや支持体となる布地や鏡といった素材のスタディを繰り返しながら、独自の表現を探求してきた。紙に印刷されていたインクだけが残り、布のテンションによって引き裂かれながら定着することで生まれる作品には、コラージュされた文脈や物語が、複雑なテクスチャの中に浮かび上がる。
一方で西村は、針で金属版やプラスチック板を直接彫る「ドライポイント」という版画技法や、凹凸のあるものの上に紙を置き、鉛筆やパステルなどの描画材で擦るように描く「フロッタージュ」という技法を基に、彫られた凹凸が生み出す有機的な表情に着目し作品を制作してきた。彼はこれらの洗練された版画技法に加え、紙に刷るのではなく、版にインクを詰めてから木枠で囲い、石膏を流し固めて転写する「石膏刷り」の技法を取り入れることで、プレス機のサイズに規定されない版画の可能性も探っている。流動的なインクと石膏が溶け合いながら、ある瞬間で時が止まったようにもみえる作品には、幾重にも観測された現象が、独特のマチエールの中にあらわれる。
本企画では、京都芸術センターの展示空間内における滞在制作と展示を通して、アーティストがそれぞれ独自に培ってきたこのような「うつし」の技法を取り上げ、その表現を/が可能にしているものへと目を向ける。
滞在制作|2023年5月20日(土)- 6月23日(金)

開催情報

ジャンル
ギャラリー

10:00~20:00
会期中無休

※祇園祭宵山期間中は開館時間が短縮となる場合があります
※滞在制作中の6月8日(木)は臨時休館。オープンスタジオ以外に見学を希望される方はお問い合わせください。

料金

無料

出品作家

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