めぐりあう大津絵―笠間日動美術館・小絲源太郎コレクションと神戸女子大学古典芸能研究センター・志水文庫の大津絵
23/9/15(金)~23/11/5(日)
八王子市夢美術館
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大津絵は、滋賀県大津市の大谷・追分周辺で、江戸時代初期から旅人向けのお土産、護符として流通していた絵画だ。その起源については諸説あるが、一説によれば慶長年間に発生した本願寺の分立により、門前町からの立ち退きを命じられた絵仏師たちが追分の地に転居し、旅人相手に手頃な値段の仏画を販売したことがその始まりであると言われている。時代が降るにつれ、神社の絵馬に見られる図柄、あるいは風俗図など幅広い画題が取り入れられて世俗化していった大津絵は、同時代の絵画だけでなく、人形浄瑠璃や歌舞伎、浮世草子や合巻などの文学作品、そして道徳哲学の分野にも影響を与えるほど庶民の間に浸透していく。また近現代に入ると、多くの文化人たちがその造形的な面白さに惹かれ、美術コレクションとしてさかんに蒐集されるようになるとともに、大津絵と日本の文化史との関係性について、様々な角度から活発に研究が進められるようになった。
本展では、昭和の洋画家・小絲源太郎氏(1887~1978)が蒐集した大津絵コレクションを展示する。また、演劇資料や仏教版画の蒐集がきっかけとなって大津絵に興味をもって研究した国文学者・信多純一氏(1931~2018)による大津絵とその関連資料のコレクションも展示。芸術家の視点からの蒐集品と、研究者としての視点からの蒐集品という、二つのコレクションがもつ個性を対比しつつ、時を越えて人々から愛される大津絵の魅力に迫る。