楊洲周延 明治を描き尽くした浮世絵師
23/10/7(土)~23/12/10(日)
町田市立国際版画美術館

天保9年(1838)、高田藩(現・新潟県上越市)江戸詰の藩士・橋本直恕の嫡男として誕生した楊洲周延は、若き日より歌川国芳や三代歌川豊国、豊原国周(とよはらくにちか)ら歌川派の絵師に師事し、画技を身につけた。しかし幕末の戊辰戦争では、江戸の高田藩士で結成された神木隊(しんぼくたい)として上野戦争に参戦。榎本武揚ら率いる旧幕府軍に加わり箱館戦争を戦うといった激動のときを過ごす。本格的に絵師としての活動を開始したのは40歳となる明治10年頃だった。刀を絵筆に持ち替えた周延は、優美な美人画から躍動感ある役者絵、戦争絵、歴史画、時事画題まで、まさに「明治」という時代を描き尽くす。
明治に入り写真や石版画など新たな印刷技術が台頭するなか、周延は浮世絵師として何を描き続けたのか――本展では約300点の錦絵、版本、肉筆画を通し、その全体像に迫る。文明開化と江戸懐古のはざまで変化する時代の空気や、人びとの息づかいを感じていただく機会となれば幸いである。
※会期中、展示替えあり。
前期 10月7日(土)〜11月5日(日)
後期 11月8日(水)〜12月10日(日)