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南谷理加 「黙劇」

23/10/28(土)~23/11/18(土)

小山登美夫ギャラリー

Untitled #0269 2023 oil on canvas 86.0 x 54.1cm ©︎Rika Minamitani

小山登美夫ギャラリー六本木ではこの度、南谷理加の個展「黙劇」を開催する。
作家にとって同廊で初の個展となる本展では、新作を中心に、大小のスケールにわたる油彩画を発表する。
南谷は作品制作を通して、絵画というメディウムの可能性と制限とを行き来するような、イメージの実験を追求する。南谷の絵画は、対照的な色の組み合わせや、均一に塗られた色面と筆致の際立つ箇所、モチーフの省略化とディテール描写といった、キャンバス上の様々なコントラストによって構築される。それにより描かれる登場人物や動物は、豊かな表情と独特のジェスチャーで躍動感をもって画面に立ち現れる。
南谷の絵画をさらに特徴づけるのは、余白を大胆に使用したダイナミックな構図だ。人物などが集まって描かれた群像においては、互いに干渉しあうポーズや視線が観る人のまなざしを誘導し、錯乱させる。一方で単体のモチーフが画面一杯に描かれた構図では、描かれた人物や動物がまるで「押し込まれているように」、キャンバスそのものの直線的なエッジに制限され、あるいはそれに呼応しているような表現がある。
また本展の作品にも見られる近年の展開として、登場人物の肌や服の部分に、タトゥーや模様のようにも見える線描が描き込まれる。作家が「ラフに引いた線」と呼ぶこうした線描は、絵具の色面に新たなレイヤーを与えることでその重厚感を突き崩すと同時に、キャンバスという一つの画面に描かれた人物像に、画中でまた新たな描画が与えられるという入れ子構造を発生させる。
本展のタイトルである「黙劇」は、パントマイム(pantomime、無言劇)の日本語訳だ。作家はこの訳を知った際、昔見たパントマイムの「なにかをしているふり」と、自身の絵の中の人物などが繋がったといい、また同時に「黙」として言葉を語らないモノである絵画の性質とも共通項を見出す。
一見、なにかの物語の一部やキャラクター的な表象にもとれる人物や動物のモチーフは、「人物は色や形の入れ物にしか過ぎません」と語る作家にとって、イメージの実験の一部でしかないのかもしれない。南谷の作品において具象的なモチーフは、絵画独特の視覚的な効果と切っても切れない相互的な関係にある。南谷のそうしたバランス感覚は、特定の意味を伝える手段でも、視覚効果の追求のみでもない、作家が「絵として自立した絵」と形容する独特の視覚言語を確立している。新作が一堂に会するこの機会に、ぜひご高覧いただきたい。

開催情報

ジャンル
ギャラリー

11:00~19:00
日・月・祝休廊

※ART WEEK TOKYO参加につき、11月3日[金・祝]、5日[日]は10:00~18:00でOPEN

料金

無料

出品作家

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