木下千春日本画展 ~はじまりの夜、幻想の羽衣~
23/10/31(火)~23/12/17(日)
佐藤美術館
木下は1972年北海道生まれ千葉育ち。1995年武蔵野美術大学空間演出デザイン学部を卒業し一旦社会に出た後、東京藝術大学大学院(文化財保存学日本画専攻)において極めて専門的な日本画の技法を習得する。
その後、院展に軸足を置きながらもコンクールや個展、海外での発表等多岐にわたり尚且つ旺盛な活動は同世代の日本画家とは一線を画する存在と言えるだろう。
本展第一室(3階)では、日本画の優れた筆法と絹本もしくは和紙のレイヤー構造を巧みに組み合わせた独自の技法表現により、水中生物が浮かんでは消え再び表出する、美しく幻想的な作品と今日に至るまでの作品を厳選し展示する。第二室(4階)は、狩野派の絵師たちが心血を注ぎ競い描き、桃山時代以降の大名たちにもてはやされた南蛮屏風を再編成し襖絵に仕立てた仕事だ。東洋と西洋の出会い、異国と日本双方の絵画様式そして木下の現代的なセンスと解釈が渾然一体となった世界が広がる。そして最後の第三室(5階)では、「自然への畏敬」を視覚化する。それは日本画のみならず図案を施した透明フィルムシート、照明、音がクロスオーバーした空間芸術であり、木下の新たな表現提示だ。
現在、過去、未来。
時空を超えた木下芸術の全貌に迫るとともに今後の更なる飛翔を皆様と共に占いたいと思う。