手塚雄二展 雲は龍に従う
24/10/19(土)~24/11/17(日)
そごう美術館

1953年神奈川県に生まれた手塚雄二は、東京藝術大学在学中に院展に初入選し、39歳の若さで日本美術院同人に推挙されるなど、早くから画壇の中枢で活躍を続けてきた。また長年にわたり東京藝術大学の教授として後進の育成に力を注ぐなど、教育者としても確かな足跡を残している。そして昨年には古希を迎え、ますます旺盛かつ縦横無尽に彩管を揮っている。その作風は伝統に軸足を置きながらもモダニスティックに展開し、斬新かつ洗練された無二のイメージを創り出してきた。
本展では、2020年から制作中の6×12メートルという長大な寛永寺根本中堂の天井絵を、2025年の奉納に先駆けて特別に披露する。
この天井絵は数百年の時を経た天井板に直接描かれるもので、旧材をあえて活かすことにより「古」と「今」を結ぶ新たな試み。描き出される2頭の龍は手塚が初めて挑むモチーフで、コロナ禍、アトリエに籠って描いたおびただしい数のスケッチの中から紡ぎ出された独自の図像だ。そしてその神聖かつエネルギッシュな龍の姿には、手塚雄二の平和への祈りが込められている。
手塚が紡ぎ出す豊かなイメージ世界から、作家自身の内なる美意識に迫り、伝統と革新の精神で日本画の王道を歩んできた手塚雄二、約50点の作品により「今」を探る。