奥原晴湖と近代の南画
25/2/21(金)~25/4/20(日)
茨城県天心記念五浦美術館

中国の文人画にルーツをもち、山水や花鳥に漢詩を添えて画家の胸中の理想世界を描く「南画」は、江戸中期から明治初期にかけて大いに流行した。美術指導者として近代日本美術を牽引した岡倉天心(1863-1913)も、上野に画塾を構えた南画家・奥原晴湖(1837-1913)に南画を習った時期がある。
現在の茨城県古河市出身の晴湖は元治2年(1865)、29歳で江戸へ出ると、やがて維新後の東京で、時代の雰囲気と合致した大胆・奔放な筆致の作品を描くようになり、名声を博す。女性でありながらいち早く断髪するなど、豪胆な性格でも評判だった晴湖は、政財界の要人などの後援者にも恵まれた。明治24(1891)、55歳で埼玉県の熊谷へ隠棲するが、以降は東京で活躍した時代とは対照的な、精緻で細密な作品を晩年まで描き続けた。
一方、大正期に入ると南画にも新たな動きがあり、西欧の近代絵画の影響を受けた画家たちにより、既存の南画の形式にとらわれず、より自由な画題や様式で詩的感情を描く「新南画」と呼ばれる作品が誕生した。
本展では、東京・熊谷両時期の晴湖の作品のほか、同時期に活躍した猪瀬東寧(1838-1908)や野澤白華(1845-1904)ら茨城ゆかりの南画家、そして大正期に活躍した小川芋銭(1868-1938)ら新南画を生み出した作家たちの作品をご紹介する。
※会期中、一部展示替えあり
前期:2月21日(金)~3月23日(日)
後期:3月25日(火)~4月20日(日)