愛と平和の江戸絵画

江戸時代は、徳川家康が幕府を開いた1603年（慶長8）から、終焉を迎える1867年（慶応3）まで、約260年もの長きにわたり平和の続いた、世界史的にも稀有な時代だった。安定した政情のもと経済が繫栄し、多様な文化が育まれ、美術においては幅広いジャンルと表現が誕生した、画期的で魅力あふれる時代に位置付けられる。
本展は、「愛」と「平和」という2つのテーマから江戸時代の絵画をご紹介する展覧会。泰平の世を謳歌する人々や、穏やかな日常を描いた風俗画、親しみをこめて描かれたいきものたち、家族や恋人など愛する人への想いが伝わる作品の数々を展示する。さまざまな形で表現された「愛」と「平和」のメッセージを受け取ってほしい。

特集展示　生誕150年記念 　上村松園と京都
近代京都画壇を代表する女流画家・上村松園（1875～1949）の生誕150年を記念し、同館収蔵の松園の作品から3点を特別に公開する。松園は、気品ある女性像で確固たる地位を築き、日本人女性で初めて文化勲章を受章した。松園が影響を受けた京都の円山応挙（1733～95）の作品などと合わせて楽しんでほしい。

特集展示　日本のやきもの色イロ
日本のやきものは、1万年以上前の縄文土器に塗られた赤と黒から始まり、白、青、緑、黄などたくさんの色で飾られてきた。この色は、釉薬や絵具、陶器・磁器という素地、焼く時の温度、窯に入れる空気量など、様々な素材や条件を組み合わせることによって、ようやく得ることができるもの。特集展示では弥生から江戸時代までの作品約25件を、赤・白・青・緑の4色に分けてご紹介する。同じ色の中でも、時代や産地ごとに特徴があり、色イロに変化するやきものを楽しむことができる。