GROUP SHOW: 6 ARTISTS
25/5/7(水)~25/6/7(土)
KOSAKU KANECHIKA

KOSAKU KANECHIKAでは、2025年5月7日から6月7日まで、グループ展「GROUP SHOW: 6 ARTISTS」を開催する。
本展は青木豊、桑田卓郎、武田陽介、舘鼻則孝、朝長弘人、十三代 三輪休雪の作品で構成される。
⻘⽊豊は、絵画の視野を広げ、世界と絵画の関係とその新しい可能性を追究する制作活動を⾏っている。⼆次元と三次元を⾃由に⾏き来するような作品や、素材の物質性や制作⽅法⾃体の相互反応にフォーカスした作品。特に⻘⽊は⼀貫して光へアプローチしてきた。光が時間軸、鑑賞者の存在や視線、展⽰空間などの環境の要素に補完され、有機的に⽴ち上がるような豊かさを捉え、また⼀⽅で光の存在の⾃明性⾃体を問い直すことなど、光を多⾯的な物質として観察している。デジタル化する⽇常環境のなかで、⼈間としての様々な感性が呼び覚まされるような視覚体験を提供する。
桑⽥卓郎はこれまでに⽬にしたことのない、陶芸の枠を超える表現を発表し続け、ニューヨーク、ブリュッセル、ロンドンなど世界各地で展覧会を開催している。「梅華⽪」や「⽯爆」などの伝統的な陶芸の技術を独創的に表現する桑⽥の新しい視覚⾔語は、世界で⾼い評価を得ている。その核となる伝統表現は桑⽥がスタジオを構える美濃地⽅で⽣まれ、安⼟桃⼭時代に茶の湯の⽂化と共に脈々と継承されてきた“わびさび”や⾃然、不完全なものに美を⾒出した⽇本独⾃の陶芸美学だ。桑⽥はその表現を現代に置き換え、場所、歴史や⾃然、時代と対話をし続けることによって、伝統とコンテンポラリーを融合させ、また時には相互に刺激し挑発し合うような、他に類を⾒ないオリジナルな作品を⽣み出している。
武⽥陽介は、写真というメディウムの可能性を追求し続けている。代表作である《Digital Flare》シリーズは、デジタルカメラを強い光に向けた際に⽣じるフレアという現象を捉えている。その光とは、カメラのシステムがとらえた純粋な被写体ではなく、その被写体とシステムの関係性から⽣じ、カメラフレームの内部に溢れた光であり、それを作品化することを武⽥は「⼿段の形跡、存在の刻印」と表現する。つまり写真において、被写体はカメラシステムの外部にあり、客観化され、カメラはそれを写しとる、という前提を相対化している。「⼿段(カメラ)と⽬的(被写体)の錯綜した関係性」をこそ被写体とする彼のコンセプトは、写真の歴史においてこれまでに⾏われてきた様々な実験に連なるものであるだけではなく、美しく、強度があり凝縮された作品を⽣み出している。
舘⿐則孝は、⽇本古来の⽂化的に価値のある部分と、現代の要素を組み合わせることで、新たな視点と世界観を提⽰する。俯瞰的な視野を持ちつつ、詳細を徹底的に掘り下げる。それが⼯芸的な⼿仕事で精緻に完成された作品として表現される。歴史、そのなかで育まれてきた独特の美学、⽂化や思想。それらを再考することで未来への可能性を⽰す舘⿐の作品は世界で⾼く評価され、遊⼥が履く⾼下駄から着想を得た代表作《Heel-less Shoes》等の作品が、ニューヨークのメトロポリタン美術館やロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館などに収蔵されている。
朝⻑弘⼈は、眼前のものがふと違って⾒える瞬間を捉え、それを絵画に起こそうとしている。前景と背景を交互に⾏き来したり、あるものを別のものとして解釈する際の視覚内の細かな移り変わり。これらは絵の具を重ね、拭い、跡を残していくという動作の繰り返しにも反映されている。作家の眼の中で起こる変化は、このように徐々に絵画における絵具の質へと変換され、画⾯に固定される。⾃⾝に近しい対象を扱う朝⻑にとって、こうした運動は物理的、感情的な距離感を考察する場でもある。描かれた絵画は固定されつつも再び動く予感を含んでおり、それは眼前の世界に対し作家⾃⾝が抱く寄る辺なさのあらわれでもある。
2019年に三輪家当主として十三代 休雪を襲名した三輪休雪は、三輪家伝来の白萩釉を用い、萩焼の伝統を継承しながらもダイナミックで斬新な造形を取り入れた作風で、国内外で高く評価されている。刀を使って斬り出した土肌と三輪家伝来の白萩釉(休雪白)のコントラストで迫る茶碗《エル キャピタン》シリーズは、米国留学時代にヨセミテ国立公園で見た巨大な花崗岩などから得たインスピレーションを、萩の土、そして陶芸の伝統と統合して作られている。自然界のエネルギーと長い工芸の歴史を感じさせる十三代の作品は、その圧倒的な独創性で鑑賞者を魅了する。
本展では約20点を展⽰する。