Dressing Up: Pushpamala N Phantom Lady or Kismet, Return of the Phantom Lady and The Navarasa Suite 

Return of Phantom Lady, 2012 ⒸPushpamala N

シャネル・ネクサス・ホールは、昨年よりアジアのアーティストにフォーカスした展覧会シリーズを展開している。2025年前半の展覧会では、写真を主なメディアとして創作活動を行うアジアのアーティストにフォーカスしたシリーズの第二弾として、昨年の中国に続き今年はインド出身のアーティスト、プシュパマラN（Pushpamala N）を紹介する。
プシュパマラは、インド、バンガロールを拠点に多分野で活躍するアーティスト。彫刻家として活動を開始し、1990年代半ばから、さまざまな役柄に扮して示唆に富んだ物語を作り上げるフォト・パフォーマンスやステージド・フォトの創作を始めた。その作品は、女性像の構築や国民国家の枠組みといったテーマに取り組んでいる。
国内初個展となるKYOTOGRAPHIEそして東京・銀座のシャネル・ネクサス・ホールの展示では、〈Phantom Lady or Kismet〉、〈Return of the Phantom Lady〉、〈The Navarasa Suite〉の3つのシリーズを紹介する。これらの作品は、インド映画の「黄金時代」に登場する典型的な女性キャラクターに直送を得たもの。伝統と現代性、そしてアイロニーを融合させながら、インドにおけるジェンダー観に鋭く切り込んでいる。神話や民間伝承、大衆文化を引用しながら、視覚的な表現が文化的記憶や国民的アイデンティティの形成にどのように影響を与えるのかを考察している。
本展を通じて、歴史やジェンダー、権力に対する鋭い考察を提示し、イメージが集合的・個人的アイデンティティの構築にどのように関わっているのかを問いかけている。

※2014年にベンガルール（Bengaluru）に改名されているが、現地では今でも旧称も使用されているため、作家のテキストを尊重しバンガロール（Bangalore）と表記している。