伝説の漆匠 佐野長寛 奇想と風雅の世界
25/7/12(土)~25/8/24(日)
MIHO MUSEUM

佐野長寛(ちょうかん)は、寛政6年(1794)に京都の塗師・長濱屋治兵衛の次男として生まれた江戸時代後期の漆工だ。幼くして父から漆工を、また高雅な作品を作るため詩歌も学び、近くに儒者・数寄者がいると聞けば訪ねて教えを請い、京都市中の漆工も訪ねる熱心さで特に七代中村宗哲から大きな影響を受けたとされている。
21歳で家名を継ぐが、翌年から諸国歴遊の旅に出て、紀州、吉野、奈良などの畿内を始め諸国の漆器産地を歴訪して技術を学んだ。文政5年(1822)に帰京して開業すると、すぐにその作品は評判となり、高麗の名工張寛に私淑し5代目の末葉を称して長寛と号し、また自らを漆匠と称した。無欲で弊衣蓬髪を恥じず、常に斬新な意匠の創意を試みたと言われている。
大正14年(1925)2月24日、有志による長寛70回忌の法要が京都・浄宗寺で営まれ、4月3日には妙法院での追善の供養と共に、恩賜京都博物館(現京都国立博物館)で彼の作品の記念展示が行われた。2025年はその記念展示より100年目という節目の年にあたり、あらためて漆匠長寛の功績を顕彰し彼の作品にスポットを当てる。
※会期中展示替えあり