没後50年 髙島野十郎展
25/7/18(金)~25/9/28(日)
千葉県立美術館

髙島野十郎(1890-1975)は、福岡県久留米市出身で主に東京で活動し、晩年千葉県柏市に移り住んだ洋画家で、「蝋燭(ろうそく) 」や「月」などの主題を、細部までこだわった筆致で描いた。没後50年の節目を機に開催する本展は、これまでに開催されてきた髙島野十郎展を超える最大規模の回顧展だ。代表作はもちろんのこと、 彼の芸術が形成されたルーツを遡り、生涯にわたって自身のよりどころとしてきた仏教的思想を読み解きつつ、青年期や滞欧期の作品など、従来の展覧会では大きく取り上げられることがなかった部分にもスポットを当てる。さらに、野十郎や関係者による書簡や日記、メモ等の資料をもとに、彼がひとりの人間としてどのように生き、 周囲とどのような関係を築いて絵かきとしての歩みを進めたかという部分にも注目し、野十郎の人間像にも改めて迫る。野十郎は、71歳の時に当時まだ田畑が広がる静かな田園地帯であった柏市増尾に移り住み、晴耕雨読ならぬ晴耕雨描の生活を送った。彼は訪ねてきた姪に「ここは俺のパラダイスだ」と語ったという。千葉の海もまた、絵の題材として彼の心を掴んだ。野十郎終焉の地であり、月や海など彼を魅了した豊かな自然のある千葉 で、野十郎の絵画世界に思う存分浸ることができるまたとない機会だ。