戦後80年 1945年の記憶
25/6/25(水)~25/7/18(金)
ギャラリー58

中村宏《空襲》アクリル、紙 2022年
2025年は戦後80年という節目の年を迎えます。第二次世界大戦を体験した世代の多くは鬼籍に入りつつあり、戦争の記憶が日々薄れてゆく中、世界では依然として戦火が止むことはありません。本展では、戦後の日本を代表する5人の美術家が、それぞれの視点から戦争の記憶や体験を投影した作品を紹介します。
1945年、篠原有司男(当時13歳)は東京・麹町から中野の親戚宅に身を寄せたのち、空襲で実家は全焼し、疎開先の長野県佐久市で終戦を迎えます。中村宏(当時12歳)は軍需工場が密集する静岡県浜松市で日々繰り返される爆撃に怯え、機銃掃射に2度遭遇し、死と隣り合わせの日々を過ごします。赤瀬川原平(当時8歳)は空襲の激しい大分市内で防空壕に入ることが日常化し、深夜の大空襲で死を覚悟したといいます。吉野辰海(当時5歳)は花火のように燃え上がる仙台大空襲の光景が今も鮮明に蘇ると語っています。終戦の2年後に生まれた石内都は米軍基地の街・横須賀で育ち、広島の原爆資料館に毎年納められる遺品の撮影を2007年から続けています。
本展では、篠原有司男、中村宏、吉野辰海が自身の戦争記憶と向き合った絵画、赤瀬川原平の戦争に関するエッセイの自筆原稿とイラスト、石内都の写真「ひろしま」シリーズを展示いたします。篠原と吉野は本展のために描いた2025年の新作を発表します。
戦争の記憶が私たちの日常から遠ざかっていくいま、それぞれの美術家が語る「1945年の記憶」を通じて、過去の出来事と向き合い、未来へと繋がるメッセージを受け止めていただければ幸いです。