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企画展 おさんぽ 展 −空也上人から谷口ジローまで−

25/9/20(土)~25/11/16(日)

滋賀県立美術館

おさんぽが与えてくれる、豊かな時間。
日本で「散歩」という語が初めて使われたのは、鎌倉時代から南北朝時代の禅僧、虎関師錬の漢詩文集『濟北集』だと考えられている。「梅花」「春遊」と題した漢詩で、虎関師錬は、野辺をそぞろ歩きつつ春の訪れを感じる喜びを謳っている。伝馬遠《高士探梅図》(岡山県立美術館、前期展示)に月夜に梅を探して歩く様子が、浦上玉堂《幽渓散歩図》(岡山県立美術館、後期展示)に山河の中を歩む様子が描かれるように、虎関師錬が謳ったそぞろ歩きは、絵画の中にも表されてきた。
明治時代以降、西洋に学んだ画家たちもまた、散歩を様々な方法でモチーフとした。菊池契月《散策》(京都市美術館、前期展示)が描くのは、新緑の森の中を2匹の犬を連れて歩く少女の姿。金島桂華の《画室の客》(京都市美術館、後期展示)は、女性が犬の散歩の途中で画家を訪ねたひとときを表そうとした意欲作だ。また、いつもの散歩の中でふと立ち止まったり、風景が違って見えたりする一瞬をとらえる作品も生まれた。小倉遊亀は《春日》(滋賀県立美術館)で、散歩の途中に知り合いと話し込んでしまう穏やかな光景を、漫画家谷口ジローは《歩くひと》(一般財団法人パピエ)で、自らが長年暮らした場所の風景を細やかに描いている。
一方、散歩に類する行為をたどると、そこここを歩くことでは散歩と似ていながら、散歩とは異なる歩行の歴史を見出すこともできる。虎関師錬より前の時代には、空也、一遍、一向俊聖といった僧侶が、人々の救済を祈って諸国を巡り、その姿はたとえば《空也上人立像》(滋賀・荘厳寺/滋賀県立琵琶湖文化館寄託)のような肖像として表された。また西行は、武士の身分を捨てて僧侶となり諸国を行脚して、その感興を多くの和歌に残している(《西行物語絵詞》(国/文化庁保管))。与謝蕪村《松尾芭蕉経行像》(逸翁美術館)に描かれるのは、経行という、ただ歩くことに専念し一歩一歩をゆっくりと踏みしめ身心を整える、禅の修行の姿だ。
「おさんぽ展」では、散歩や歩くことをめぐって生まれた、重要文化財2件を含む約70作品を、一部展示替えをしながら紹介する。滋賀県立美術館は公園の中にある。秋色深まりゆく季節、「アートさんぽ」をぜひ楽しんでほしい。

前期:9月20日(土)〜10月19日(日)
後期:10月21日(火)〜11月16日(日)

開催情報

ジャンル
美術館

9:30~17:00
月曜日休館(ただし、10月13日(月・祝)、11月3日(月・祝)は開館し、10月14日(火)、11月4日(火)は休館)

※入館は閉館の30分前まで

※小さなお子さんがいる、障害があるなど、様々な理由で来館を迷っている方へ
同館では、展示室でもしーんと静かにする必要はなく、おしゃべりしながら過ごしていただけます。また、目が見えない、見えづらいなどの理由でサポートや展示解説をご希望される場合や、その他、ご来館にあたっての不安をあらかじめお伝えいただいた際には、事前の情報提供や当日のサポートのご希望に、可能な範囲で対応します。

料金

一般1,200円(1,000円)
高校生・大学生800円(600円)
小学生・中学生600円(450円)

※同時開催中の常設展もご覧いただけます
※( )内は20名以上の団体料金
※身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳をお持ちの方とその介助者の方は無料

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