水野 暁 視覚の層 | 絵画の層
25/9/13(土)~25/12/16(火)
群馬県立近代美術館
水野暁(みずの・あきら)は1974年、群馬県東吾妻町に生まれ、現在も同地を拠点に活動を続ける画家だ。水野と同じ年に誕生した同館では、2014年、開館40周年を記念するグループ展「1974年に生まれて」において初めて水野の作品をまとまった形で紹介し、大きな反響を呼んだ。今回の個展では、それ以降のおよそ10年間に制作された未発表作品を含む近作、新作を中心に、代表作を加えた50点の作品を展示する。絵を描き始めた幼少期から新たな表現に挑み続け50歳を越えた現在まで、テーマや表現方法によって分けられた6つの章を通して水野の作品展開を紹介する。
水野は多摩美術大学大学院修了後、スペイン、マドリードへの留学を経て、2005年、約10年ぶりに故郷に戻った。それからの水野は、幼い頃から慣れ親しんだ山や川、樹木など故郷の風景を3年から4年かけて大画面に描くスタイルで制作を続けてきた。水野は常に現場に通って対象の前にキャンバスを立て、その時々に見たもの、感じたことを画面に描き重ねていく。完成した作品には季節の移り変わりや年月の経過が凝縮され、水野が五感で感じとったリアリティがとらえられるのだ。現在は、榛名湖の水面をモチーフに2022年9月から描き始めた150号の画面に取り組んでおり、本展ではその未完の作品が初公開される。
焦点や解像度を変えて対象を見つめ続ける水野の視覚は絵具の層となって画面に積み重なり、やがて写実を超えたリアルな存在を画面に出現させる。近年ますますリアリティの強度を高めている水野の今の表現を、展示室でぜひ体感してほしい。

