はいからモダン袴スタイル ―「女袴」の近現代―
26/1/3(土)~26/3/29(日)
弥生美術館
今では大学の卒業式のスタイルとして定着している女性の袴姿。近年は小学校の卒業式でも袴を着用することが増え、注目を集めている。それではなぜ卒業式に袴を穿くのだろう、と思ったことはないだろうか。
袴は明治・大正の女学生や小学生の通学服だった。女学生の袴姿はこの時代を象徴する装いとして、現代でも魅力を放ち続けている。しかし、近代教育の幕開けとともに登場した当初は、男装的な姿が「醜い」「国辱」とまでの非難を浴び着用が禁止され、その後襠の無いスカート状の「女袴」が考案されたことで広まっていった、という紆余曲折があった。また、今では女学生のイメージが強い袴だが、かつての宮中の女官の装束に由来し、教師、工女、医者、事務員、電話交換手など、むしろ女学生が着用していた期間よりも長く「働く女性」の装いでもあった。袴にはジェンダーレスで活動的な衣服としての側面もうかがえるのだ。
女学生の袴が通学服として一般的だったのは、明治三〇年代から昭和初期のわずかな期間だった。和装から洋装へ移り行くはざまに花開いた袴姿の歴史を辿り、明治から現代までの絵、写真や袴実物等の資料を展示、その魅力や意義を紐解く。

