生誕150年 湯浅一郎
18/4/28(土)~18/6/17(日)
群馬県立近代美術館
明治元年、近代の夜明けを告げるその年に一人の画家が現在の群馬県安中市で生を受けた。その名は湯浅一郎(1868~1931)。醤油味噌醸造販売を営む裕福な家と、新島襄とも親交のあった先進的な父、治郎の存在による恵まれた環境のもと、当時はまだ珍しかった西洋画(油絵)に出会い、洋画家を志す。山本芳翠やフランスから帰国したばかりの黒田清輝に師事し、明るい光の反射や空気感を描き出す「外光派」と呼ばれた画風を身につけた。明治から昭和にかけての日本は、洋画を学ぶこと自体難しかった時期から、ヨーロッパで学んだ画家たちによって次々と新しい芸術が紹介される時期へと大きな変化を遂げている。その激動の流れに身を置きながらも、湯浅は自分の絵を目でとらえることのできる世界に求め、その生涯をとおして何気ない日常的な女性の姿や風景を描き続けた。本展は湯浅一郎の生誕150年を記念し、油彩、水彩、素描など約120点により、その画業をあらためてふりかえろうとするもの。滞欧中に制作されたベラスケスの模写、装丁や壁画の仕事、様々な資料からも、この画家の生涯とその時代を感じることができる。