内藤 礼-明るい地上には あなたの姿が見える
18/7/28(土)~18/10/8(月)
水戸芸術館現代美術ギャラリー
ひと 2012年 ギャラリー小柳、東京 撮影:木奥惠三
「地上に存在することは、それ自体、祝福であるのか」をテーマに制作する現代美術家・内藤礼は、光、空気、風、水、重力といった無尽蔵な自然と、それらがもたらす色彩や音を受けとる私たち地上の生を、ひそやかな、それでいて確かな希望を放つかたちに昇華させた空間作品で、国内外より高い評価を得ている。また、内藤はこれまで、きんざ《このことを》(直島、2001 年)、《母型》(豊島美術館、2010 年)といった自然や建築空間と呼応するパーマネント作品を手がけ、またフランクフルトのカルメル会修道院(1997 年)や東京都庭園美術館(2014 年)といった歴史的な場所で展示を行ってきた。
国内において 2014 年以来の個展、かつ過去最大規模となる本展では、光を自身の作品における根源のひとつとしてきた内藤が、はじめて自然光のみによる、光と生命と芸術がけっして分別されえない「地上の生の光景」を見つめる空間を生み出す。内藤はあるとき、「地上の生の内にいる者 ( 私 ) が、生の外に出て、他者の眼差しを持ち、生の内を眼差す無意識の働き」に気づき、「私たちは遠くから眼差され、慈悲を受けとっているのではないか」と感じるようになったという。本展は、一日を通して移り変わる豊かな自然光のもと、地上に生きる私たちと死者、生まれ来る者、動植物、精霊との交歓の場として、また永続する自然の動きと私たちとを貫く連続性を可感化する空間として立ち現れることだろう。