濱田祐史 R G B
18/9/7(金)~18/10/27(土)
PGI
©Yuji Hamada
本作「R G B」は「C/M/Y」に続き、色と光を考察する作品の第二弾となり、光の三原色をテーマに据えている。フィルムに露光された色と粒子そのものを見たい、という思いから、白をバックに影を被写体として、R(赤)G(緑)B(青)のフィルターを使用し、多重露光で撮影している。
写真の持つ要素のひとつである「記録」もこの作品のもうひとつの側面である。身近に入手することのできるカラーネガフィルムを買い集め、それぞれのフィルムが持つ色や粒子のポテンシャルを可視化するため、撮影や暗室での条件を統一した。それぞれの作品タイトルは使用したフィルムの名前になっており、図鑑や標本のように、現在入手できるフィルムが表現する色を意識的に保管している。個人的な視座に端を発しながらも、制作の手法をフィルムの特性に委ねることで、現代を記録しようという試みである。
一般的に写真作品では、具体的なモチーフが被写体になるが、実体を写さず影を撮影することで「〇〇は何色」という既成概念から逃れ、相対ではなく純粋にそこにある色を見せている。また、多重露光という光の重なりは、抽象的なイメージに空間を作り出した。モチーフの不在は、写真の持ちうる空間性と想像域を広げ、作品を見る私たちは「見えないことによる美」の存在に思いを馳せることができる。